リシュケシュを出てモラダバルへ…

 深夜未明、かなりの雨が降ったようだけど、これを読んでるみんなにとってはどうでもいいよね。俺だってどうでもいい。蚊帳を使ったおかげで、蚊に悩まされることなくぐっすり眠れたんだけど、これもどうでもいいよね。いえね、日記をそのまま書き起こしているからこういうムダな個所があるわけですよ。

 さて、早起きしまして、今日はアシュラム区域の方に行く。しかしながら所持金は500Rs札2枚だけ。所持金が少ないというのも問題だが、500Rs札しかないというのがまた大問題なのだ。どういうことかというと、インドのお札で500RsはMaxの1000Rsの次に大きな額なのであるが、安い買い物…たとえば食事代とかリキシャ代金などで500Rsを渡しても、まずお釣りがない。お釣りを求めて右往左往するか、受け取りを拒否されてしまう。実際にこのときも、小銭を作ろうとその辺の商店をまんべんなく回ったが、すべて拒否された。田舎で500Rsは本当に使えない。
 ではこういうときどうすればいいのか? 宿で両替してもらえばいいんですよ。もう!最初からこうすればよかったわよ。小銭を求めてあっちこっち飛び回ってだいぶ時間をロスしてしまった。

 小銭を手にした俺は、ジュースとパンケーキを買い、リキシャをつかまえる。

「ヘイ、オートリキシャー!ヨガの聖地、ヨガ・ニケタンまでお願いします」
「50Rs」
「ほほう。妥当な値段だけど、一応値切ってみますね。もう少し安くなりませんでしょうか?」
「じゃあ10Rs」
「安ッ!! 何か裏がありそうだけどお願いします」

 というわけで、リキシャはカオスそのものの悪路を爆走する。走るリキシャ全てが思う存分クラクションを鳴らしまくり、お互いを威嚇しあう。縄張り意識が強いのだろうか。邪魔だ、どけ!ってのが露骨にみえる。まあどこにいってもそうだけど。。
 大きな橋を渡るも水が流れておらず、代わりに貧民集落があった。突風一発で吹き飛んでしまいそうな家々。時々こういう集落をみるのだが、なんともむなしくなる。

 リキシャはまっすぐヨガ・ニケタンに到着。さて、10Rsの裏をみせてもらいましょうか。 あっさりUターンして帰って行きましたわ。なんで? ともかく、ありがとうございます。けっこう距離があったのにね。

 このエリアこそアシュラムが立ち並ぶヨガのメッカなのだが、俺はヨガなどどうでもいい。のであるが、せっかくなので庭先までお邪魔してみる。その後近くのガートに行く。沐浴している人もいる。俺も川辺に腰を下ろし、パンケーキを食いつつ、緩やかに流れるきれいなガンガーを眺める。目の前には有名な大橋、ラム・ジュール橋が横たわる。
 橋にはサルが多い。対岸でまたガンガーを眺めていた。このあたりの景色は日本に似ている。山が日本的。まあね、ガンガーとはいっても、俺にとってはただの川。旅に出てから度々日本が恋しくなる。家族恋人以外は誰もたいした心配はしてないだろう。非日常の旅が始まって数か月経つが、だいぶ冷静になってきた気がする。自分の価値とか他人の価値、その二つを結びつけている力。 そろそろ戻るか。

 リキシャで宿近くのバススタンドまで戻り、ネットカフェに行く。が、使えないだと。こんなんばっか。別のカフェには日本語がインストールされていない。だめだ。せめて銀行で両替しないと。SBI(State Bank of India=インド国内最大級の銀行)に行き、T/Cをキャッシュにしないと死ぬ。俺は絶句した。窓口のお姉さんが、インドを旅して来た中で見る、最高の美人。素で見とれていた。なんという美しさ。なんでこんな田舎町に、ムンバイの女優みたいな人がいるんだろうか。肌の色も白いし。東南アジアでもそうだったけど、銀行員は色白、すなわち育ちがいいものと察する。

 大金を手にして宿に戻る。シャワーを浴びたいところだが、この宿のシャワーはひどい。シャワーから水が出ず、蛇口からチョボチョボ少量しか出ない。せめてくそしよう。なんかこのごろ便秘でさー。なんでインド来て下痢にならず便秘なんだよ。

 11時半にチェックアウト。いよいよインドの家族と接触することになるのだが、ここで説明しなければならない。どうしてこのような経緯になったのか。
 僕が生活したある地方都市(日本だよ)でインド人と知り合った。彼とはいい友人となり、僕がインドに行くことを伝えると、彼の家族がサポートしてくれるという手配をしてくれたのだ。僕もいい機会だと思いそれを享受することにした。そして友人の兄にあたる人と、ここリシュケシュ駅で待ち合わせをし、モラダバルという街に行くことになっているのだ。

 ベッドの下に隠されていたエロ本はそのままにチェックアウトする。日本にいるインド人の友人と連絡を取り、待ち合わせ時間は14時となる。街をうろついた後、辛過ぎるパヤルを食い、駅に向かう。リシュケシュ駅はこじんまりとした駅で、とにかくハエが多い。もうね、ハエで床がまっ黒なのよ。とりあえずチケットを買うか。家族のお世話になった後、俺はダラムサラに行かなければならない。ここでやらなければいけないことがある。ダラムサラ行きのチケットを手に入れること。しかし、W/Lだった。。どうしよう。どうしよう。。ということろで、お兄さんが来た!今後、インド旅行中大変お世話になるインドで一番の恩人・ムルジさんである。

 さすがに初対面ではぎこちないが、インド人とは思えないほど物静かで謙虚な感じ。育ちがいいのだろうか。一緒にモラダバルという街にあるお宅を目指す。当日券の2等車に乗る。サドゥーたちと相席になる。で、ダラムサラ行きについていろいろと話を聞かせてもらいつつ、途中乗換え。
 チケット売り場が大変なことになっていた。。それでもなんとかチケットを手に入れて、列車が来るのを待つ。人々が動き出した。列車が来るのだろう。2等席乗り場は席を取ろうとする乗客でスタート間近のマラソンのような状態。そこに列車が到着。・・・もうね、大爆笑ですわ。

 席争奪戦が行われたわけなんだけどさ。。俺たちはポーターを雇っていた。ポーターとは荷物運びをしてくれる人なのだが、席取りもやってくれる。彼がすさまじい戦いを演じてくれた。まだ列車が完全に止まらないうちに、非常口(唯一開いている小窓)に俺のバックパックを投げ入れた(ひどい)!続いて自らが先頭切って頭からダイブ!周囲のみんな次々と飛び込む。やべえ、今でも思い出して大爆笑しちゃう。まるで戦争。ペンギンがよく水の中に次々と飛び込んでいく様子があるじゃないですか。まさにあれですわ。ポーターが殺気立った様子で目を血走らせながら俺に叫ぶ。「お前も早く来い!!」 そうだ、ここは戦場だった。俺も頭からダイブを決め、肩やひじを強打した。ポーターが無事に俺とムルジさんの席を確保してくれた。すごい手際と戦闘力。拍手をおくりたい。この人たちは毎日こんなことしてるのか!?信じられない。これだけやってもらって20Rsは安い。

 列車はすし詰め状態。あれほど壮絶な戦いをしたにもかかわらず、発車予定時刻は1時間以上遅れた。ようやく列車は走り出す。外の景色の壮大なこと。インド人の群れに苦しみながらも窓から流れ入る風は気持ちいい。かなりほこりっぽいけど。荒野ではないけど、ひたすら大地が広がる。空がまた広い。時々、畑を歩く人々、沼から飛び立つ鳥、時々町も見える。

 インド人はゴミを平気で捨てる。列車内で飲み食いしたゴミは窓から投げ捨てる。これがインドでのマナー。線路際はゴミだらけだ。ゴミを持てあましてる俺に、彼らは「投げ捨てろ!」とアドバイスする。嫌なアドバイスだ。しかしここはインド。毒を食らわば皿までも、だ。俺は悲しみの空に向けて、空のペットボトルを放り投げた。

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