モラダバル到着

 リシュケシュからモラダバルを目指している。ラクサル駅で乗り換えた頃にはまだ夕方。日は長いのだが、暗くなり始めるとあっという間に闇夜になる。光が少ないから本当に暗い。モラダバルに着いたのは21時を過ぎていた。
 モラダバルはガイドブックに載っていない地方都市。わりとデリーに近いんだけどね。駅は大きく、かなりの都会。なんでこんな大きな町がガイドブックには載ってないのか。たぶんみどころが特にないからじゃないかな。わりと新興都市の雰囲気があったし、遺跡などはないと思われる。が、この街はブラスが有名で、世界中に輸出している。ブラスとは真鍮・黄銅のことで、これを原料に容器やオブジェなど様々な加工品が作られている。

 これから僕はどこに向かうのか。ムルジさんの家に向かっていると思っていいのだろうか。目的の家までサイクルリキシャで移動。すごくにぎやかな街。ホテルも多く、シアターもたくさん。外国人の姿は全く見かけなかったが、ふつうに英語は通じるし、物や宿も溢れているので不便なところではない。

 目的の家に着いた。大きめの雑貨屋を営んでいる家できれい。お父さんとお母さん、それと息子のパラスが俺を迎えてくれる。俺はもうわけがわからないというか、どうすればいいのかわからない。きっとインドの家族たちもどうしたらいいかわからなかっただろう。

「はじめまして。日本からノコノコやってまいりました。シンと申します」
「よく来たな。ゆっくりしていきなさい」
「ありがとうございます。素敵な家ですわね」
「片付けといたからな!」

 来た早々気を使ってもらい、 シャワーを浴びさせてもらい、フルーツなどをいただく。部屋には当然のようにヒンドゥーの神々がいらっしゃる。少しして、ムルジさんの義理の弟にあたるアミットがくる。かなりのナイスガイ。しばらく話してすぐに打ち解ける。実は今日泊まるのはそのアミットの家だ。
 お父さんとお母さんにしばしの別れを告げ、パラスを含めた4人でアミットの自宅へ向かう。道路がきれい。建物もきれい。そして広い。場所によっては開発されたばかりの場所もあるみたい。住宅街だけどね。しかしながらここでも停電は日常のようで、突然街灯が全滅。真っ暗に。

  アミット家はすごい大きさ。つーかこの辺の家はみんなでかくてリッチ。家の中に通される。停電中なのでろうそくが灯されたリビングには、すさまじい美人女性2人が!こちらに笑顔を向けている。ろうそくの明かりに照らされて異常なほど妖艶。ひとりはムルジさんの妻・ハニー、もうひとりはその妹でアミットの妻・ルーチー。そしてもうふたり、とってもかわいい女の子が。。ムルジさんの娘アニーと、その妹でまだちっちゃいメヘク。

 このとき俺はまだ自分の状況が全く理解できていなかった。この人たち、誰?僕はどうなるの?

  でもね、みんなすごく気さくで明るくて、呆然とするくらいウェルカムしてくれた。さっき会ったばかりなのにもう家族同然で。子供たちも死ぬほどかわいくてさー。もうね、アニーのかわいさは異常。世界一かわいい8歳と断言できる。とても賢くてしっかり者で、俺とは大違い。
 ここでもいろいろ話をしながらフルーツをいただく。かれらは日本人に興味があるというだけでなく、元来コミュニケーションのとり方がアクティブ。ウェルカム精神が強いようだ。ようやく停電から回復。

「なあ、ミスター・シン。映画でも見ないか?」
「それはグッドアイデア。ぜひそうしよう」
「よーし、いい映画があるんだ…」
「インドは映画大国だからね、前からインド映画を見てみたいと…」
アナコンダだ!」
「…。アナコンダ…ね。それはグッド(泣)」

 映画のためにベッドルームに行く。TVもPCもある立派な部屋。Easy!と促されてベッドの上に転がりながらみんなでムービーを見る。インドではベッドが生活の中心だということを知る。ここでなんでもする。睡眠はもちろん、団らん、食事、テレビ、勉強…。始めて招き入れた外国人の男を、いきなりベッドでくつろげ!横になれ!ってのは日本人からすると信じられないよね。だからすごく躊躇した。

 見たのはアミットの結婚式の映像。アミットとルーチーはまだ新婚さん。あれ?アナコンダは? まあ、このような形でインドの結婚式が見られるとは思いがけず良い経験。このムービーを見ながら、しきりに話しかけてくれる。これはどうだ、あれは どうだ、実に面白い。こちらの結婚式ではとにかく食事の量が尋常ではないようで、とにかく食らう。結局結婚式ビデオに白熱し、アナコンダ放映はお流れに。よかった…。

 夕食をいただく。もう深夜1時を回っていたのだが。ベッドの上で3人くらいで食事。チャパティうまい。。たくさん食べ(させられ)た。日本人の美学である遠慮は、ここでは無礼に当たる。出されたものは楽しく嬉しく全部食う。これが食事を提供してくれた人に対するマナーだ。

 食後、PCでゲームでもやろう(いつまで起きてるつもりだ)、とクリケットのゲームを始める。クリケットはインドでもっともポピュラーなスポーツ。インド国内にもプロリーグがあり、毎日テレビでも中継されている。子供から大人まで夢中になる。野球やサッカーは全く市民権がなく、誰も興味を示さない。さて、チームとフィールドを決め、さあスタート!

 ブツリ! …停電ですわ。。

「クソッ!これがインドの大問題なんだ!」・・・ってわけで、ようやくお休みなさい。俺はムルジさんと2人でこのベッドで眠る。

 ようやく理解した。俺が最初に行った家は、2姉妹の実家ということで、ムルジさんの実家ではない。ムルジさんの実家はもっと離れた場所で、なぜモラダバルにいるかというと、親族の結婚式がこの地であったため、たまたま集まっていただけのようだ。俺は翌日ムルジさんの実家に行く予定になってる。先の予定はあるのだが、それはではゆっくりインドの一般生活に浸かってみようと思う。何より、こんなに大事にしてくれるインド人のみんなが素敵で仕方ない。

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