ナマステインディア!~コルカタ到着

  「さよなら、タイ」遠ざかるバンコク。俺はインド行きの飛行機に乗っている。乗客の9割はインド人で、とにかく濃い。顔が。窓側の席を確保してのんびり外を眺めながらのフライト。インド人との接触はこのフライトから始まっていた。出発間際まで全員搭乗しておらず、ぎりぎりまでみんなうろうろそわそわごそごそ。いい予感しかしない。そうそう、バングラデシュ上空の絶景は興奮した。川が血管のように縦横無尽に流れている。フライトは3.5時間くらいだったため、あっという間。うとうとしてたらイミグレカードが来たので記入する。

 申し遅れました。この旅行記はタイのバンコクから飛び立つ所からはじまっております。

 バングラ通過後間もなくランディング。下界に広がるのはインド。あこがれのインディア。ミニチュア模型のような景色は明らかに他国と違う。

 本記事の見出しに「ナマステ」とあるが、これはおなじみのインドの挨拶である。また、「ナマスカール」という言い方もある。両者の使い分けは知っておいた方がいいのでレクチャーしておこう。

ナマステ:
親しい間柄で使う。または目上の人が目下の人に対して使う。ただし、子どもや若者がかなり年上の人に大して使う場合もある。これは日本語で言うところの「おじいちゃん、こんにちはー」とタメ口使うようなニュアンスに近い。

ナマスカール:
実はこちらの方が一般的。ビジネスではもちろん、初対面や知人レベルならこちらを使う。友人間でも使われることが多い。ナマステ、ナマスカール、どちらを使うべきか悩んだら、ナマスカールを使った方がベター。

 コルカタのチャンドラ・ボース空港に無事着陸、と同時に機内からは盛大な拍手が起こる(笑)。空港施設まではシャトルバスで移動、そしてすぐにイミグレとセキュリティチェック。30分以上待たされてようやく荷物を受け取る。待っている間に手持ちのバーツをルピーに両替し、プリペイドタクシーの場所をInfoカウンターで聞く。バックパックを取り戻し、プリペイドTAXIカウンターで、インド博物館まで210Rsを買い、外に出る。黄色いオンボロ、いや、超オンボロタクシーの群れに向かう。

 話が前後しますが、東南アジアからインドへは空路は使いたくなかった。お金がかかるしおもしろくないから。当初の予定では、ラオスから中国(昆明)に入り、成都を中継してチベットに入り、その後ネパール→インドというルートを陸で移動する予定だった。が、ちょうどチベットで大規模デモが起こり(2008年チベット動乱)、完全シャットアウト。成都からシルクロードを使ってパキスタンからインドに行くという手段もあるのだが、時期的に国境が開いていなかった。ミャンマーなど通れるはずもない。だから空路は最終手段だったのです。

 さて、ドライバーが手まねきする方にトコトコ歩く。チケットを渡し、行き先を告げる。なぜか他のドライバーが5人くらい集まってきてガヤガヤ騒ぎ出す。オンボロTAXIは走り出す。もちろんA/Cなどない。ここはインド。クソ暑いので、車内に流れ込む風は熱風だ。インドの道路はベトナムの比でない恐ろしい渋滞と無法っぷりの運転。恐ろしすぎる。なんだか細い道をうろうろしていたので、どこか別のところに連れて行かれるかなと腹をくくる。噂通り、ドライバーは宿のこととか聞いてきたし。 それがいやだったから、行き先を「Museum」に指定していたのだ。

 タクは意外にもまっすぐMuseumに到着。ドライバーがチップを要求してきたが無視。さて、目的の宿は安宿が集まるサダルストリートの外れにあるセンターポイントGH。Museum の目と鼻の先がサダルストリートで、日本人宿も多いらしいがスルー。あっさりセンターポイントを見つけ、チェックイン。ドミ100Rs。2008/4/1から 80Rsから値上げしてやがった。

 チェックイン後、さっそく街に出てみる。もう空港からの道中で見てきたけど、とにかく喧騒。ほこりっぽくてきたない。そして恐ろしいほどの人間の多さ。すべてがインド。これこそが俺が憧れていたインド。

 興奮していた、と同時にかなり緊張もしていた。不安だった。通りをうろつくとイ ンド人が声をかけてくる。ただの好奇心か、商売目的かわからないが、インド人はとにかく気さくで明るい。かわいげも、まあある。とりあえず飯でも食うか。チャイ屋で チャイ2Rsと屋台でフライドライスを食す。インド人達と並んで小汚い椅子の上で食う。チャイって美味い。クソ暑いからこそこの熱さ甘味がいい。フライドライスはうまくもまずくもないが、量が半端じゃない。食うのがかなり大変だった。

 日が暮れてきたので帰ろうと思ったが、ラオスで出会った大学生のO君からもらったサンダルを片方紛失したため、調達に出かける。ガイドブックを見ると、ニュー・マーケットという巨大な市場があるようなので行ってみた。

「何か買っていけよ」と声をかけるインド人
「ボク、サンダルを探してるの」
「そうか、じゃあこの男が案内しよう」

と、別のインド人が紹介される。なんでしょうかこの展開。どういうこと?彼は俺の腕をつかみ、案内してくれたが、途中まったく関係ない土産屋に「ここはどうだ?」などとかなり寄り道。靴屋を3軒くらい紹介してもらったところで、ようやく普通のビーチサンダルにありつけた。50Rsと言ってきかないのを、帰るフリで40Rsに。今度はなくさないようにしないと。しかしなぜ、案内人が勝手に値段交渉をするのだろう。次はかゆみ止めを買いに行く。また声をかけられる。

「いいあごひげだな」
「ありがとう」
「ダージリンから来たのか?」
「…日本だよ」
「ソーリー、インドは何度目だ?」
「もう3回目だよ(嘘)」
「よし、チャイかラッシーでも飲まないか?俺たちは同じアジア人、いうなれば"ブラザー"だからな」
「また今度ね」
「そうか、じゃあ俺の店に…」

 …いちいち相手にしてたらかゆみ止めなど手に入らない。
 薬局がないので近くの雑貨屋へ。今度はそばにいた笛売り男が俺に食らいつく。

「ピーヒョロロ 笛、買ってくれよ」
「(無視)ハロー、雑貨屋のおじさん。イッチークリームない?」
「かゆみ止めならこの2つだけだな」
「ピーヒョロロ そうなんだ。2つだけしかない!」
「じゃあ、これいくら?」
「両方とも30Rsだ」
「ピーヒョロロ そうだ、30Rsだ」
「OK。ありがとう」
「ピーヒョロロ なあ、笛買わないか?」

 …あのね、笛男さん、ピーヒョロロと笛吹きながら茶々入れるなよ。。かゆみ止めを入手し、最後にバナナ 買って帰宿。宿のスタッフはとても気さくでいろいろ話しかけてくるから退屈しない。

 この心から湧き上がるワクワク感はなんだろう。俺は早くもインドの魅力に取りつかれたようだ。

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