インドで列車チケットをとる

 昨晩早く寝たせいか、6時前に起きた。しかし外はもうかなり明るい。ここではニワトリの声は聞こえず、カラスの鳴き声が鳴り響く。昨日シャワーを浴びず に寝たので、まずはシャワー。インド式トイレなんかもう余裕。この宿はトイレとシャワーが別室なのがうれしい。

 朝食を求めて外に出る。宿近くの道角にある パン屋に行く。バター&ジャムで6Rs。

 今日もインド人は気さく。こんなに朝挨拶するなんて今までなかった。外に出ても声をかけられ、宿に泊まってたインド人にも「これ!どうだ!?」とグラサン姿を披露される。ちなみにこの宿には猫ちゃんがいる。昨日はごみ箱をあさり、ひっくりかえしてた。今朝はドミのベッドの片隅で丸くなっていた。

 さて、今日はバラナシ行きのチケットを買いに行く。バラナシとはインドの聖地。ガンジス河で有名な街。ガイドブックによると、わざわざ川向うのハウラー駅まで行かなくても、ここから徒歩2,30分の予約オフィスで買えるようだ。そこには外人用窓口があるから案外楽に事は運ぶと思っていた。しかしそれは大きな間違いだった。。。

 オフィスが開くのは10時なので、9時半までダラダラして出発。地図を見ながらインド人の波を泳いでいると、声をかけてくる男。

 「カンボジア人ですか?」

 …そうきたか。その男は誠実そうで、服装から察するにムスリムのようだ。彼はチェンナイから来ているという。

 「私たちは友人だ、助け合いましょう。とりあえずおいしいチャイ屋があるので行きましょうか」

 出会って1秒で友人になっているのがインドマジック。友人なら仕方ない、チケットをさっさと取りたい気持ちはあるが、ここは興味を示してみよう。
 承諾すると、彼はどこかに携帯で電話をかけ始めた。これこれ!この怪しさ!その期待通り、チャイ屋に日本語を少し操る男が参上。彼らは初対面だとか言ってたけど、そんなわけねえだろ!(笑)
 日本語使いは「これからショッピングに行こう。ガンジャもあるぜ」 期待通りの展開に、やったぜという気持ちとめんどくせーという気持ちを抱えつつ、「チケット優先」と断る。ガンジャと言えば誰でも飛びつくと思うなよボケが。ちなみにチャイはこの日本語男がおごってくれた。ムスリムの方は丁寧にお礼を言っていた。ここだけは猿芝居とは思えなかった。

「じゃあチケットとった後にショッピングだ。それならいいだろ?」
「ああいいよ」
「よし、2時にMuseumで待ち合わせよう。約束だぞ!」
「オーケーオーケー」

『約束』という自身が発した言葉に興奮しはじめる男。
「ところでな、約束を破る Fuckin'野郎が多い!Fuckin'日本人が多い!Fuckin'頭にくる!おまえもそんなFuckin'な野郎だったら許さん!そんな、クソFuckin'な…」などとFuckin'の連発。もちろん俺は2時にMuseumに行くつもりなど毛頭ない。チャイが出てくるのもかなり遅れ、だいぶ時間をロスした。

 ようやく予約センターに歩き出すが、道に迷った…。この暑い中迷子になるのはきつい。その辺に立っているPoliceに聞きつつ、予約センター近くの目印であるGPO(郵便局)を目指す。結局着いたのは40分後。さて、肝心の予約センターは、移転してた…。もうがっかりですわ…。駅まで行くしかない。俺はくたびれた体を引きずりながら歩く。川を越えるためのフェリー乗り場はあっさり見つかった。 4Rsでチケットを買い、フェリーに乗る。ゆったりと対岸へ。
 対岸につくと、目の前にドドーーンとハウラー駅がそびえたつ。Current Reservation(当日券)はあるが、Advance(前売り券)が見当たらない。この窓口を探すために、いったいどれほどさまよったか。エンクワイアリー(相談窓口)に行っても人だかりで話にならない。とりあえず旅の必須アイテム「列車時刻表」を駅構内の書店で買う。35Rs。これがないとインドは旅できない。それにしても予約オフィスがない。その辺のインド人に聞いても、教えてもらって行った先でも迷子。だが、スキンヘッドのナイスガイが助けてくれた。「よし、俺についてこい!!」キャーステキ!ついてくわ。おかげで無事予約オフィスに辿り着いた。

 チケットを取るには予約フォームに記入しないといけない。だが書き方がわからないので、ノートに行き先や列車 No.をメモして見せる作戦に出ようとしていると、一緒に並んでいるインド人が「フォームを書かないとだめだ。あそこにあるからとってこい」という。俺はフォームは持っていた。「書き方がわからないんだよ」インド人は親切に教えてくれた。ようやく俺の番になりフォームを出すと、「外人はあっちの14番窓口」だって。結構並んだのに…。改めて外人窓口に提出。明日の夜8時発バラナシ行き3A席1名!よろしく!「ないよ。W/Lだな」…嫌だ。だって明日また苦労してここに来てさ、乗れなかったらどうするんだよ。明後日はないの?Doon Expがあった。でも料金は1000Rsを超えた。俺は「考え直す」と立ち去る。このとき俺はルピーをほとんど持ってなくてドルで払いたかったのだが、ドルはここでは使えないという。

 ここでW/Lの解説をしなければなるまい。ウェイティング・リストのことで、座席は満席なんだけど、当日 キャンセルする人が出たときに、その空き席に座れるというもの。通し番号でW/L10とかあって、これは10人待ちってこと。発車に近づくにつれてこの番号がどんどん繰り上がっていく。だが必ずしも満席だと乗れないというわけじゃなくて、W/Lチケットで乗車はできる。座席がないだけ。この場合は、どこかテキトーに空いてるスペースを確保すればよい。トイレの前とか車輌連結部分とか。高いチケットほど座れないと損をするわけだ。というか、基本的に列車は長距離なので、シートに座れない、もしくは寝転がれないとかなりキツイ。いや地獄。

 とりあえずルピーから作るか。構内に銀行がないか探しまわる。あったけど昼休みで窓口はCLOSE。待っているインド人がオフィスにあふれている。だめですね、外を探そう。駅を出ると、タクシー軍団が。「Bankを探してる。両替したい」「この辺にはない。サダルにたくさんある。よし、40Rsでどうだ」 話にならん。トボトボフェリーでまた戻る。とにかく両替はしとこう。地図に載っているBankを目指していると、「Eastern Railway外人予約オフィス」だって…。天の助け。偶然たどり着けた。
 文字通り外人専用のため、丁寧にブッキングしてくれる。とりあえずもう一度明日のバラナシ行きを当たってみた。…席ありました。ガイドブックにもあったけど、外人用オフィスの席は別に確保されており、駅でダメでもここなら取れることもあるという。しかもドルが使えたからその場で買えたし。さんざん苦労した後だったから本当に安堵した。

 もう15時。ランチを食おう。この辺 は露店がたくさんある。そういえば午後から異様に人の数が増えた。俺はインド人たちにまじってカレー(ミールス)を食う。フィッシュカレーです。この辺は フィッシュカレーが主流で、土地柄バングラデシュに通じるところがある。インドではじめてカレーを食べるわけですが、マナーを知らない。というわけで隣のインド人に手で食う方法を教わる。スプーンを出してもらったけど、ここはやっぱり手でしょ。味はうまいがコメがまずい。でもやっぱり量は多い。15Rs。手を洗って(これも教えてもらう)、さて帰ろう。帰り道もクソ暑くてうんざり。道路はカオス。通りは人の洪水。強い日差しとホコリ、騒音と汚れ。もうどっぷりとインド。

 宿に帰ってすぐシャワー。この宿は快適。風通しがいいのかな、涼しい。買ってきた時刻表を眺めつつ、今後の予定を立てる。バラナシ→アーグラ→デリー→ハルドワールと列車で行き、そこからリシュケシュまではバス。ここまでは確定。ネットカフェに行ってメールチェックして調べもの。チベットには5月から入れるとの情報が。ホントかよ。どうせ悲惨なことになってるんじゃないの?

 さて、メシ。歩きまわって見つけたローカル食堂。またしてもミールス。今日は疲れた。インドで生活するって、毎日が全力じゃないとやっていけないな。。

この日の支出:
宿100Rs 朝6Rs 昼15Rs チケット$22 水10Rs 夜15Rs コーラ6Rs フェリー9Rs

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