インド最南端の町へ

 世界一じめじめした町コーチンにいます。南インドの港町です。私は今、コーチンの宿におります。時間は早朝3:00。おかあさん、僕はこれから次なる町に旅立ちます。インド最南端の町・カンニャークマリへ。

 4時前にはチェックアウト。移動手段はもちろん列車。俺の泊まった宿は、エルナクラム・ジャンクション駅のすぐ近く。余裕だぜ!と言いたいところなんだけど、発車駅はエルナクラム・タウン駅という少し離れたところから出るんだよね。もうめんどくさいな。歩いたら結構かかるし、野犬がいたら大変。俺は間違いなく食い殺される。リキシャーがいるといいんだけど、今までの経験上こんな時間にはいない。いてもリキシャーの中身は空っぽ。どうせいないだろう。

 「おい。乗るか?」

 いるじゃん(笑)。あっさり見つかりました(爆)。迷わず乗りこんでタウン駅まで直行(核爆)。料金は40Rs(笑爆核爆)。まあオートだし妥当かな。けっこうな道のりだったのでリキシャー使ってよかった。歩いたら乗り遅れてた。
 だが、列車も遅れていた…。いったいどのくらい遅れているのだろうか。遅延情報などという親切なものはもちろんない。ホームのベンチの上でうとうとしながら列車を待つ。蚊が群がってきやがる。列車は40分遅れで到着。俺の席には当たり前のようにインド人のおっさんが熟睡していた。相変わらずだなー。おっさんを追い払い、眠ることにする。シートに残るおっさんの体温が気持ちわりーーーー!

 目が覚めると10時くらい。車内をみると、すさまじいインド人の数。溢れんばかりのインド人。やっぱりビッグホリデイはきつい。まさかみんなカンニャークマリ行くのだろうか。聖地だからな。しかし乗客の多くはカンニャークマリ手前のトリヴァンドラムのあたりで下車。ここも聖地だから。
 今さらだけど、外国人はじろじろ見られる。すごく見られる。インド人は肌は浅黒いんだけど、目がぱっちりなんだよね。二重だし。だから異様に光って見える。けっこう眼力がある。そんな目でじろじろ見られるのは結構いらつく。ましてや食事してるところを見られるのはかなり癪にさわる。バングラデシュなんか最悪らしいね。まあ実際のインド人はとても友好的で、話せばニコニコ笑う。ただ、無表情が怖いんですよ。

 乗客がほとんど降り、車内はがらんとしていたので席を移動。窓側の席に居座って外を眺めていた。相変わらず圧巻の風景。遥かかなたまで広がるヤシのジャングル、その隙間を流れる川、沼で水浴びをする女性…、現代から古代にタイムスリップしたかのような手つかずの大自然。列車はジャングルの中を走る。駅もちゃんとあるんだよ。ジャングルを抜け、平地になってくるとまた景色が変わる。広大な畑が広がる。これだけ広い畑を管理することなどできるのだろうか。みたところ、家が見当たらない。どれほど遠くから畑にやってくるのか。。

 1時間半遅れでカンニャークマリに到着。ようやくここまで来た。僕の休憩地点。まずは恒例の宿探し。観光地でもあり、聖地でもあるこの町には宿が腐るほどある。が、インド人がいっぱいで安いところ見つかるかな。カンニャークマリの宿は軒並み高めなんですよ。僕が泊まった宿はAshoka Lodgeという。なんと1泊200Rsもするんだけどね、もうどこ行っても高くてここが妥協点ってところかな。しかしながら部屋はけっこうきれいでシャワー・トイレ付。ダブルベッドで窓からは海も見える。ここカンニャークマリで有名なヴィヴェーカーナンダ記念堂も見える。海に近いだけあり風通しがいい。こんないい環境で4泊もするなんて心が痛むけど、今まで極貧生活だったからたまにはね。ちなみにこの宿、オフシーズン価格で200Rs。オンシーズンだと450Rsです。

 とりあえずランチに行こうじゃねえか。クマリ・アンマン寺院近くのローカル食堂へ行く。ミールス20Rs。言うまでもなくすさまじい量。今はオフシーズンとはいえ、インド人にとってはオンシーズン。人がいっぱい。インド人の観光旅行は聖地巡礼だ。外国人観光客にとっても聖地が観光地なわけで、見事にバッティングするようになっている。それだけ俗な観光名所があるわけじゃないってことだ。

 インド最南端の海を拝みに行く。ガートは相変わらず沐浴(というより海水浴か?)する大量のインド人とそれを見物する大量のインド人。波は非常に荒く、さすがのインド人も泳いでなどいなかった。それにしてもゴミが多いなー。インド人が集まるところはゴミ集積場だ。あらあなた、海水で食器洗うの?ガンガーで洗うよりはだいぶマシだけどさ…。
 間もなく俺はその場を離れ、人がいない海岸に行ってぼんやりと海を眺めていた。この荒波、まるでカルマまみれのインド人をいさめているかのようだ。いや、俺をいさめているんだろうな。ある日突然旅に出ると言い出してその数カ月後日本を飛び出してしまった。大切な恋人を一方的に置いてきてしまった。あの娘はこの海のはるかむこうで日常生活を送っているんだろうか。ふと俺は彼女の名前を叫びたくなった。荒れ狂う海に向けて彼女の名を叫ぶ。インドの最南端で愛を叫ぶ。大声出すのは気持ちいいよね。

 海でひたすら時間を過ごし、ようやく町を徘徊する。小さな町だけど活気はある。南インドはパンがおいしいのよ。日本人好みのもちもちした食感(焼きたてじゃぱん)なんですよ。ベーカリーが何軒もあってね、パンとケーキを買ったわけだ!(ざこば風) パンうまいよ。でもケーキとか甘いパンね、甘過ぎて死にそう。もう食わない。ダラムサラのケーキが美味かったから期待してたんですけどね。

 ネットカフェは高かった。40Rs/hもするの。しかも遅い。しかも日本語は読みしかできない。ネットカフェの軒数自体も非常に少ない。

 ヴィヴェーカーナンダ像は夜になるとライトアップされる。いっちょまえに。インドのくせに。そして宿も停電にならない。電力が安定してるって素晴らしいね。明日は早朝サンライズを見に行かなければならない。本日3回目のシャワーを浴び、瞑想して、キメて、眠る。こんな快適な睡眠は久しぶりだ。

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