コーチンをさまよって

 下ネタを話しながらリキシャーで移動。チャイニーズフィッシングネットというものを見に行ってみる。これはコーチン独特の漁法で、文字どおり中国から伝わった技法らしい。写真を見ればわかるように、大きな網で一気に獲る。大きな装置とその操作が実にダイナミックである。網を上げた時、それはもう大量のお魚がぴちぴちと跳ねまわっているに違いない!
 そんな期待を胸に、漁の様子を見ていた。おっ!網が沈んだ!上がった!た、大漁だーーーーー!と叫びたかったのですが、大きな網に乗っていたのは数匹のお魚さんたちでした。おい。これはまったく効率悪いだろ。

 インドの観光資源にはあまり期待しないほうがいいとよくわかっているはずなんですけどね。とりあえずメシでも食おう。コーチンのメシ、南インドのメシは如何なるものか。

「ジャパニー。フィッシュカレーあるぞ」
「えー。魚はいいけどカレーは飽きたんだよなー」
「フライドフィッシュもあるぞ。なんならピザもある」

 客引きに連れ込まれたのは観光客向けレストラン。外国人がちらほらいらっしゃる。とりあえずメニュー見せろや。あっ…。ターリー60Rs…。高すぎるわね。さようなら。メシの価格はターリーで判断すればいい。やっぱり俺にはローカル食堂がお似合いだよな。テキトーに入ろう。そうそう、こんなところ。しかし汚いなー。ハエが多過ぎじゃねえか?メニューは?ない?じゃあターリー。結局カレーか。フィッシュカレーないの?普通の野菜カレー?しょうがねえか。あれ、うまいじゃん。うまいじゃないの。これが南インドの味なのか。

 ”ドサッ” ←ライスが追加される音

 もういくらでも注ぎ足しやがれ。

 ”ビシャッ” ←カレーが注ぎ足される音

 ストップ、というまで注ぎ足されるのがインドのターリー。これだけ食って20Rsだもんな。やっぱターリーはすごいわ。偉大なるエネルギー源。北インドとは使用スパイスが違うと思われる。

 コーチンの見どころはヨーロッパ文化が残る町並み。教会や礼拝堂もたくさんある。実際南インドはキリスト教徒も多い。クソ暑い中、自分の足で歩くのは非常につらい。できるだけ効率的に回らなければのたれ死んで野犬の餌になる。そういや野犬がいないな。歩きまわる時は常に地図を携行するのはもちろんのこと、太陽の位置を頭に入れないといけない。地図で見るのと実際に歩くのはまったく違う。いつの間にか方角が狂っていることが多々ある。まあ方位磁石があればいいだけのことなんだけど、この時点ではまだ持っていなかった。そう、俺はこの時地図すらもっておらず、迷子になった。小さな半島だと思ってなめていたんだ。歩きまくって死にそうになった。

 観光はムダに疲れるくせにたいした感動がない。バックパッカーには観光はあまり向いていないと思う。それでも久しぶりの海。海とインド人の喧騒を体で感じつつ、コーチンの観光を終える。ふたたびボートでエルナクラムに帰る。途中でバナナを買ってかじりながら宿に戻る。南インドはフルーツがとっても美味しいのよ。マンゴーも買いました。宿に帰ってから気が狂ったかのように貪り食う。なんという甘さ。

 夜ごはんは駅近くの”Fast Food”などと銘打たれた食堂。その名の通り出てくるのが出鱈目に早い。魚カレーを食べたのはコルカタ以来だなー。美味いんだけど骨がたくさんあるんだよな。食べるのがめんどくさい。店内はインド人まみれ。人の出入りが頻繁だったから人気店なのでしょう。申し訳ないことに、そのお店の名前はすっかり忘れてしましました。

 ここのところずっと旅に飽きていたのは、煩悩が激減したこともあるけど、密すぎるスケジュールで義務感の旅だったからかもしれない。明日はまた移動する。最大の目的地の一つ、インド最南端のカンニャークマリへ行きます。しかも早朝というか深夜3:00起き!さっさと寝ないと。あ~、ベッドがじめじめですわ。南京虫がいるかもしれない。ベッドめくって何もいなかったけど念のため電気をつけたまま、そして蚊帳を張って寝る。コーチンは日本ぽい町だった。結局牛は一頭も見かけず、野犬もほとんど見なかった。フォート地区のヤギがかわいかったな。めずらしくネコちゃんもけっこう見かけた。

 カンニャークマリでは3泊くらいしようと思う。そうしないとチケットも取れないし。気が済むまでゆっくりしよっ。

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