ムンバイ到着

 スリーパークラスの夜行列車に揺られ、ムンバイに向かっている。やっぱり深夜は涼しいよ。夜行はA/C車両じゃなくても平気。風も入るし。でもシートがビニール張りでベタベタするよ。俺の汗もあるんだろうけど、そもそもベタベタしている。このシートもいったい何千人のインド人の汗を吸って、いやはじいてきたのか。

 予定より30分遅れでムンバイ・セントラル駅に到着。駅構内、今までとは明らかに違う。ここは本当にインドなのか。日本じゃないのかというくらいの差。ムンバイには駅がたくさんあり、目指す場所はここから少し離れた場所。チャーチゲートという駅に行かないといけない。ムンバイローカル線についてはよくわからないため、こういうときは駅員に聞いた方が早い。隣にローカル列車のホームがあり、そこの4番線だって。階段を上り、ホームに移動。まもなく列車が来る。この列車は予約など要らない。日本の電車と同じで普通に乗り降りできる。ここから4駅でチャーチゲートである。乗って、降りる。料金は徴収されなかったけどいいのか。

 ムンバイ―インド経済の中心地。ボンベイ証券取引所やICICIをはじめ、タタやリライアンス、マヒンドラ・マヒンドラなどインドを代表とする企業の本社が集まる。高層ビルが立ち並び、きれいに整備された道路、区画。自動車が主役でリキシャーがいない。これがインド最大の都市。これまで訪れた町とは別世界、違う国。唖然とするも、やはり歩いている人はインド人。どことなく上品に見えるけど、実際上品だと思う。上半身裸の男がいないもん。女性もサリーじゃなくてジーンズ姿がけっこういる。インド人女性はやっぱりサリーだよな。ジーンズじゃねえんだよな。

 ムンバイ、見るだけ見ますか。まずはT/Cを現金にしないといけないが、AMEXカウンターがOPENするのがたぶん9時半。銀行よりOPENが早いんだ。しかしまだ8時。とりあえず街をうろつき、近くの海岸に行ってみる。うーん、きれいだわ。。どこをとってもインドとは思えない。ヤシの木が整然と立ち並び、異常なくらい青い空。アラビア海。マロニエの並木沿いはウォーキングコース。上品なインド人が朝の散歩をしている。いつものインドと違い、人ゴミは無い。

 時間になったのでアメックスに行くが、ガイドブックの地図にあるアメックスではT/C両替ができないので注意。両替は少し離れたエレクトリックハウス近くのマネーチェンジャーです。

 地図を見ると、ムンバイ随一の観光名所であるインド門がすぐ近くにある。さらにその近くにはタージマハルホテルもある。だが、オフシーズン恒例の改修工事。でもインド門には人がたくさん。インド人にも人気の観光地ではあった。相変わらず外国人の姿が見られない。インド門の向かいにあるタージマハルホテルも豪華で大きな存在感を出していた。しかしこの数カ月後、ムンバイ同時多発テロの攻撃対象になり、多くの人々がここで殺されてしまった。。

 さて、タクシーで(リキシャーはこの辺は入れない)CST(チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス)駅に行く。この駅はムンバイ最大のもので、駅建物は世界遺産に登録されている歴史的にも由緒あるもの。この駅もまたムンバイ同時多発テロの標的となった場所である。
 余談だけど、テロの記事を新聞で読んだ時、CST構内の写真が掲載されていた。人の海だった駅構内は警察が数人いるだけで誰もいない。血の海だった。この写真はショックだった。ふんづけてもすりつぶしてもくたばりそうにないインド人たちが一掃されてしまった痕。いつもは市民をいじめる警察たちも、この事件の際には命をかけたことだろう。インド人の死、最近も飛行機墜落で多くの人が亡くなったけど、本当に心が痛む。旅をしていれば憎たらしくて仕方ないのに、どうしてこんなに心が痛むのか。

 話を戻し、CST駅に来たのは列車のチケットを取るため。駅から絶え間なくあふれ出てくる人の洪水。通勤ラッシュだと思うんだけど、壮絶。。予約センターは隣の棟にある巨大なオフィス。外国人カウンターは2階。さすがムンバイ、エアコンが効いている!感動ですよ。インドでエアコンが効いているのは奇跡に近く、まれにこのような場所に遭遇すると天にも昇る。あと、窓口の対応もよかった。外人窓口はすいており、あっさりチケットが取れました。今夜ムンバイを離れ、アウランガーバードに向かいます。せっかくなので泊まってもよかったんだけど、宿が軒並み高い。高すぎて無理。そもそも都市は嫌い。

 ムンバイといえば、インドで数少ないマクドナルドがある街である。CST駅の近くにあるんだけど、インドらしく、メニューはベジとノンべジがある。ノンべジはチキンとフィッシュのみ。ノンべジはいわゆるサラダサンドで非常に寂しい。日本では底辺中の底辺であるマックだが、インドではかなりの高級品。カレーに心底飽きていた俺は久しぶりの文明の味を体験する。いや、これは腐った資本主義の金の味だ。錆臭いぜ。こんな低俗な食いものに、高尚なインド文化が侵されてはいけない!といいつつ今はカレーよりマシなんだな。

 以上、ムンバイ観光は終了。いや、見所はもっとたくさんあるんだけどね、何度もいうように観光には興味がない。プリンスオブウェルズも外からだけど見ちゃったし、高層ビル群もビーチも歩いて回った。先日ジャイプルで会った日本人とかタクシードライバーにも、ドービーガート(洗濯天国)を薦められたんだけど、別に興味がない。某映画の影響で、スラム街を訪れる人も増えているようであるが、ただの興味本位で行くのはいかがなものかと思う。

 しかしまいったなー。今夜列車が出る時間が21時。どうするんだよ、まだ昼だぞテメー。それにしても、最近の宿は駅と列車だなー。時間と金の節約にはなるんだけどね。せめてネットカフェがあればいいんだけど。いやあるんだろうけど探すのもだるくて。
 外に出てもクソ暑いだけなので、予約センターで休む。駅構内で立ち食いランチを食って。そしてまた休んで、と駅とセンターを何往復もする。そうだ、せっかく環境のいい予約センターにいるわけだし、先のチケットもとってしまおう。あまり先の予定をFIXしてしまうのも危険なんだけど、今はビッグホリデイ。先手を打たないとスケジュールが大幅に狂う。

 今後の予定はアウランガーバードに行ったのち、一度ムンバイに戻ってコーチンに行く。ムンバイ→コーチン行きの列車チケットを手配する。当然A/C車両はすべて満席のため、またしてもスリーパークラス!ビッグホリデイにも困ったものだ。しかもこの行程は2日がかりの超長距離移動なんだよ。大丈夫か俺。さすがにコーチンでは一泊しないと。さらにその先のインド最南端カンニャークマリではしばらくゆったり過ごす予定なので、ここが正念場。

 俺の推測では、このビッグホリデイはモンスーン影響のある州だけかと思うんだけど、どうなのでしょうか。チケットカウンターの人が、「学校は全部クローズ」って言ってたし。つまり、モンスーンが始まる前の今こそが混雑のピークであると。俺はインド人どもと戦う。根性と知恵と忍耐で。

『犯されたら泣けばいい。泣き足りなかったら怨めばいい。怨み足りなかったら殺せばいい。殺したら逃げればいい』(by三上寛)

 チケットがW/Lだろうが列車に乗り、宿が占拠されてたら駅で寝、食いものがなかったら奪ってやる。俺はしぶとく旅を続けるよ。

 インドのオムレツはパクチーが入ってて当たり前なので、もう食いません。パクチー抜けって言ってるのに平気で入れやがる。

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