カジュラホ発地獄のバス

 ※今回掲載する写真がありませんでした。。。

 もう、なんで早朝からこんなに暑いの?停電して天井のファンが止まり、あまりの暑さに起こされる。水をTシャツにかけて体を冷やしながらコツコツと眠るものの、7時には起きた。暑くてたまらん。ああ、もっとゆっくり寝たかったのに。とはいってもすぐにチェックアウトしないといけないんだけどね。もうこんな村は出ていく。でもホントにこの宿はよかったよ。最後もスタッフとがっちり握手してチェックアウトする。

 これからアーグラーに行く。ジャイプルに行くために、アーグラーを経由しないといけないんです。そしてアーグラーからジャイプル行きの直行バス(また夜行…)が手っ取り早いルートだと判断したためです。でもこれはあまりお勧めしない。体力的にかなりつらい。気合いと根性が十分ある僕にしかできない。ここからアーグラーまでバスで10時間以上かかる。インドの昼間バスで10時間は死を覚悟しなければならない。

 宿を出てバススタンドまでの道中、歩いて10分程度なんですけどね、そこら辺のいろんな人たちから声をかけられる。「おい、一泊だけか?」って。あんた誰ですか?というかんじだが、少ない観光客だから目立つのでしょう。朝の気温は比較的低いのだが、ここの人は暑さ対策にほっかむりしている人が多い。インド人男がほっかむりしている姿は笑える。かわいい。また、バイクも熱から守るために毛布がかけられている。

 バススタンドで水とお菓子を購入し、バスに乗る。長距離バスではあるが、エアコンはもちろんファンもない。もちろん車内はこれでもかと人がぎっしり。隣はもちろんデブ。これはもう地獄です。走る蒸し風呂だ。そもそもインドのバスはインド仕様とは思えないほど座席が小さい。細い体型の俺ですら、座席からはみ出す。だから隣とは常時密着せざるを得ない。もうやだ。窓から吹き付ける、砂ぼこりいっぱいのドライヤーのような熱風。キチガイのように大音量を出す4連ホーンは常に鳴り渡り、これまたキチガイのようなインドポップスが車内に響く。そして、ボッコボコの酷過ぎる悪路。
 この状態でアーグラーまで12時間。食欲は一気に減退、途中休憩でみかんを食べたのみ。しかしながら、夕暮れ時の外の壮大な景色はいつ見ても感動する。荒涼とした地平線に沈んでいく真っ赤な夕日。ただひとつ、それだけが心の支えとなる。
 アーグラーに入り、もうすぐ着くなと安堵していると、最後の最後で大渋滞。事故かなんかだったと思う。夜になれば外からの風もだいぶ涼しくなるのだが、バスが止まれば風も止まる。もう最悪クソ暑い。俺は廃人状態だった。

 目的のバススタンドに到着。ジャイプル行きのバスは、ここから少し歩いたサクラホテルから出る。サクラホテルに向かおうとすると、バスの客引きがやってくる。

「どこに行くんだ?」
「ジャイプル…バス…オレ…ノル…」
「おい大丈夫か。魂が抜けてるぞ。ジャイプル行きバスならもうすぐ出る。早く来い!320Rsな」
「ジャイプル…スグ…デル…ノル…」
「そうだ、いい子だ。こっちにこい」
「ジャイプル…バス…あぁっ!? 320Rs!? 高すぎだろ。それにすぐ出るってのが怪しいなあ。やっぱ乗らない」

 というわけで、サクラホテルまで歩く。5分くらいだしね。以前アーグラーに訪れた際、この宿に泊まったんだよな。宿の入口にはがめついオーナーが立っていた。彼は俺のことをちゃんと憶えてて、がっちりと再会の握手をする。で、すぐにジャイプル行きのバスチケットを手配してくれた。今夜12:00発で料金は100Rs(やっぱりな)。

 出発までまだ時間があるので、廃れた体を休めるために、しぶしぶ宿内のクソ高いレストランに行く。そこには日本人の青年がいたので彼としばらく話す。まともな日本人の旅人と話すことで、荒廃した体と心が大変癒された。暇つぶしに付き合ってくれて本当に感謝しています。彼と小説本をトレードし、食事をする。高いのでソフトドリンクとプレーンライスのみ。ライスには「ゆかり」をかければ十分だ。このゆかりはある国を旅していた時に日本の大学生から頂いたもので、ずっと大事に使っている。ゆかりはうまいけど、ライスがパッサパサで残念。

 ところで、前回記事の通り、ジャイプルでは昨日テロがあったばかり。本来なら行かない方がいいに決まっている。だが俺は行くことにした。バスが出ているという時点で問題ないと判断した。現地で状況を確認し、危険だったらすぐに次の町に移動すればいい。それにテロだってヒンドゥー寺院を狙ったものだったから、インドでよくあるイスラムによる嫌がらせテロだろう(それにしては大規模だったが)。また、観光オフシーズンであることを考えても無差別テロの可能性は低い。
 ジャイプルに向かってバスは走り出す。 DX夜行バスなので、シートは広めでクッションがきいているのが大変うれしい。外から入る風も心地よい。連続してバスの長距離移動でかなりきついものの、少しでも快適に眠れそう。これから西インドの旅が始まる。

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