シタールガンジという町へ

 あぁん、お腹がゆるいわ。明らかに暴飲暴食だと思うんだけど。とにかく食べ物がたくさん出てくるし、礼儀として全部いただいちゃう律儀な俺だから。。ホテルの部屋に、奇跡の腹を持つ少年パラスが来る。彼の腹はもうポンポンにふくれててまん丸だ。まるでガネーシャ。俺は彼によく言ったものだ。「お前はホントにいい腹してるよな」その度に彼は嬉しそうにしていたな。インドでは腹が出ていることはさほど問題ではないのだろう。
 パラスの家に行き、朝食をいただく。チャイがうまい。マジでうまい。アニーとメヘクはまだ寝ており、起こされたアニーの不機嫌さがまたかわいい!しかし3分後にはいつもの明るい彼女にもどり、おはよー!と声をかけてくる。いやー、かわいいなっ!

 お察しのとおり、俺にはロリコン属性がある。大学2年のころがピークだったが今ではほとんどその気はない。むしろ今は熟女派であり、杉本彩さんが大好きだ。

 さて、いよいよ出発です。列車の確保は無理だったようで、チャーターしたワゴン車でシタールガンジという町に移動です。ムルジ氏の故郷である。車に乗り込むと、お父さん、お母さん、パラスが見送りに来る。みんな涙目になっており、今にも泣きそうだった。本当に家族愛の強い民族なんだな。俺もつられて泣きそうになっちまう。なんかみんなね、言葉が少ないの。言いたいことはたくさんあるけど、口に出すと泣き出しそうなかんじ。そんな雰囲気がひしひしと伝わってきてて俺も限界。そこにお父さんが俺に店のお菓子をくれる。「シン、俺はお前を忘れない、また帰って来い」って言ってくれて。。 あーあ、もうだめ、俺はパールのような美しい涙を落とす。いやいや、ほんとにこういう涙は美しいよ。人との別れがつらくて泣いたのもあるけどさ、旅に出てからこんなにやさしくしてもらい、家族のように接してくれたことがうれしかった。人の温かさと愛を心から感じたから。そして、暗に恋人との別れのシーンや家族のことを思い出していたのかもしれない。俺はずっと忘れない。人間ってのはこんなにも愛にあふれてて素敵なパワーを持っていることを。この涙は感謝の気持ち。今は俺の涙を受け取ってください。さようなら、いつかまた必ず会いに行くよ。

 ワゴン車は走る。ホーンを鳴らしまくり、危険運転で突っ走る。しかし、暑い・・・。そして悪路のため、かなりひどい揺れ。世界最高峰の日本車に慣れている俺にとって、インドの車と運転は地獄である。よくもまあ走るな、ってほどボロボロの車なんだな。急ハンドルと急ブレーキがまたきつくて、さすがに気持ち悪くなったわ。ひどい悪路だったが平均時速80キロで暴走したおかげで、11時前にはシタールガンジに到着。てっきりムルジさんの家に泊まると思っていたが、僕がお世話になる家はまた別の家だった。またしても混乱する俺。ムルジさんの実姉が暮らす家であった。この家庭はかなり裕福。というのも、夫婦でこの町の学校を経営しているのだ。

 みなさんはシタールガンジという町をご存知ですか?いかにもインドらしい響きですが、ここはネパールとの国境近くの田舎町。みどころは何もなく、ただただインドのローカル風が吹く町である。

 あまりにも親しくなったムルジさん家族と別れ、また別の新しい家族の中に独りで入ることには戸惑ったし、相手もきっとそうだったに違いない(笑)。ちなみにムルジ家もここから30キロくらいのところにあるらしい。さて、この裕福なシェリー家は、とても静かで威厳が漂う。広い部屋にソファや日本製の大きな液晶テレビもある。水道水にもフィルターがつけられており、飲むことができる。家族構成は主人のラディッシュ氏と奥さんでムルジさんのお姉さんであるMrs.シェリー、Mr.のお母さんとひとり息子のゴータムの4人家族。プラス、隣接する洋服店で商売をしているラメッシュさん。親類なんだって。

 僕はすっかり借りてきた猫状態。今までのインドのテンションとは明らかに違い、とにかく静かなのだ。少し話をしつつ、昼ごはんのターリーを大量にご馳走になり、ミセスにインターネットを使わせてもらうついでに学校を案内してもらう。住居に隣接されている初等教育の学校。生徒は200人、教員は15人。少し離れたところにも学校があり、こちらはミスターが校長の中等教育学校だ。子供たちが好奇の目で俺を見る。ガイドブックにはもちろん載っていないこの田舎町では、外国人、とくに日本人は珍しいのだろう。この地はシク教徒が多く、髪も髭も伸ばしっぱなしという習慣がある。俺の姿は長髪+ヒゲだったのでちょうどいいかな。もっとも、頭髪はターバンで隠さないといけないのだが。。

 学校のPCは日本語が使えなかった。これは予想通り。職員の人に町のカフェまで案内してもらったが、Not workとのこと。これは予想外。どうしても日本と連絡を取らなければいけなかったのですが。家に戻ると13歳の息子・ゴータムが帰ってきていた。ゴータムもまた静かな少年であるが、とても賢そう。ブッダから名前をとったのだろうか。でもやっぱり子供らしく人懐っこくて、俺の住む2階までやってきて、特別話しかけてくるわけでもないが、ずっとそばにいた。いや、大人だったから、俺に気を使ってくれてたのかもな。
 そのうち一家の主・ラディッシュ氏が帰宅していた。すさまじい威厳を持つ無口な男。インドにもこういう人がいるんだな。彼こそがこの辺一帯の生徒を束ねるシニアスクールの校長であり、経営者なのだ。

「な、なななななナマステー・ジジジジー。おおおおお願いします、5日間ほど、お、おおおお置いてもらえませんか?」
「ノォーーーーーープロブレム!!!」

 あ、あ、ありがとうございます。

 ちなみに俺が与えられた部屋は2階の一室になるのだが、隣は学校の教室があり、たまに授業をやっていた。みんな俺に笑顔を向けるもんだから、俺も笑顔で手を振るとエキサイトするガキども。まったくかわいいぜ。しかしながらのどかな学校にもひとつだけ脅威があった。猿の襲撃である。すさまじい絶叫がして窓から学校を見ると、猿が暴れまわっているという光景を何度か見た。確かに怖い。俺の部屋も猿野郎によく覗かれた。

←窓から学校が見える。休憩時間はみんなクリケットしてた

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