ネパールガンジ到着

 「おい、ネパールガンジだぞ」

 声をかけられて起きる。完全に寝ぼけていた。まったく状況がつかめない。外も真っ暗。ふと周りを見ると、ほとんどの乗客が降りていた。いつのまにか熟睡していた。狭くて蒸し蒸ししててキチガイのような音楽が鳴り響く劣悪なナイトバスではあるが、慣れれば眠れてしまう。人間って10分我慢すれば大抵のことには慣れちゃうらしいね。

 まだ朝の4時。町の明かりは皆無に等しく、バスを降りると迷彩服の男たちが集まってきた。え?何事?俺何かしたの?彼らはネパール警察の皆様でした。暇そうな彼らは俺に声をかけてくる。

 「おっ。日本人か?どこに行くんだ?」

 まだ寝ぼけていた俺は考えることが困難だった。

 「えーと、バスパークかな・・?いや、先にゲストハウス探さないと。でも真っ暗だなー。ここはどこ?」

 バスを降りたところはバスパークではなく、どこかもわからないチョーク(交差点)。真っ暗だし位置を確認するのは難しい。幸いチョークの角に茶屋があり、まさに店が開くところだった。とりあえず明るくなるまでここで時間をつぶさせてもらおう。ところでこの早朝からたむろっているネパール警察の皆様、何してるんだろ。

 「警備だよ」

 こんな時間に何の警備だよ(笑)。今は早朝、というかむしろ深夜。おまけに珍しい外国人の俺に惹かれたのか、彼らも茶屋に集まってきて一緒にチャイを飲んだ。あっさり仕事さぼるところがネパールらしい。この辺のネパール人は英語がかなり苦手のようであるが、ポリスの中に、ある程度英語が使える人もいたので、ガイドブックをネタにしばらくだべっていた。

 「ネパールガンジの観光地って何かあるの?」
 「ない!」

 5時を過ぎたころ、ようやく明るくなってきて、どこからか人々や牛や犬が姿を現しはじめた。そして丸坊主の集団がランニングを始めていた。なんだこいつらは。

 「あいつらも警察だよ」

 6時になったところでゲストハウス探しを始める。数件尋ねたんだけど、どこに行っても神妙な顔というか、意表をつかれたような顔をされた。ただでさえ何もない田舎町で雨季真っ只中だから、外国人なんかめったに来ないんだろう。しかしながらこのあたりにはゲストハウスがいくつもあり、相場はだいたい150Rsくらい。料金は同じでも部屋はピンキリ。こんな時期なのでどこもガラガラで好みのところにあっさりチェックインできた。ゲストハウスは英語がそこそこ通じた。

 次にすべきことは、バスパークに行き、マヘンドラナガル行きバスの確認をすること。バスパークのスタッフはこれまたみんな英語が苦手でしどろもどろしている。バスは6:00発と13:00発の2本があるようだ。

 「じゃあ明後日の6:00のバスを予約するわ」
 「うーん、明日もう一度来て予約してくれないか?」

 えー、予約は前日からじゃないとダメなのかしら・・・。この謎は明日わかることになる。

 ようやく朝食。その辺の売店で買ったパンのみ。10Rs也。落ち着いたところで、外に出てみようと思う。このネパールガンジという町は、見事にローカルでして、何度も言うように英語がほとんど通じなくなったし、看板や標識等からも英語が消えた。不便ではあるが、外国人を見かけないという状況はけっこういいものです。ネットカフェがないのが非常にきついんだけど。。

 繰り返しになるが、なぜぼくはネパールを西に抜けるようなめんどくさいルートを選んだのか?それはインドでお世話になったムルジさんと再会するためです。ムルジさんの家は、西のネパール国境からかなり近いらしい。その国境の町・マヘンドラナガルでムルジさんと待ち合わせし、彼のバイクで一緒に家を目指す。というわけで、ムルジさんに電話して、明後日の14時頃マヘンドラナガルに着くという旨を知らせる。

 町に出てみたものの、観光スポットなどというものはないため、目的もなくプラプラと歩く。ニュー・ロードという大通りがメインになるのかな、このあたりのマーケットは大きくて活気があった。そしてネットカフェ発見!料金は1時間20Rs 。実家に定期連絡入れておかないと。ところがこのネットがクソ遅く、GoogleトップページからGmailログイン画面に遷移するのになんと10分もかかった。ひどすぎる。Yahooメールにはつながりませんでした。これはひどい。もちろん日本語は使えません。

 ネパール西部はほとんどインドでして、宗教もほとんどヒンズーになっている。ネパールガンジはインドとの国境にとても近いってのもあるけど。ヒンズー寺院はあちこちにあり、大きい寺院には参拝者も多い。チョビヒゲをはやしたシヴァ神像がおもしろかった。なんでチョビヒゲはやすんだろう。
 ローカルとはいえそれなりに大きい町なので、銀行はもちろん、旅行会社もいくつかある。車通りは極めて少なく、チャリが多い。ほのぼのとした空気がとてもいい感じ。ガイドブックにもこの町のことはほとんど載っていないけれど、探せば面白いものがあったのかもね。

 所持金チェック。現在2400Rs持っている。宿2泊で-300Rs、バスチケット多く見て-500Rs。食事代多くみて-300Rs。念のためマヘンドラナガルでの宿泊代多くみて-400Rs。計-1500Rsなので余裕でいけそう。収支計画バッチリ。一度もT/Cを現金に換えることはなかった。これから目指すマヘンドラナガルでネパールの旅は終わります。今はムルジさんとの再会がとても楽しみ。

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