ネパール カトマンズに到着

 ラクしたツケはきっちり払わなければならないのが社会というものです。

 あたいは今、インドとネパールの国境の町におります。インドの旅行会社を使い、ネパール入国⇒カトマンズへの移動をしているわけですが、この旅行会社の利用者はカトマンズ組とポカラ組とにわかれ、国境までは一緒で、この先は2手に分かれるわけです。
 早朝5時半に起こされて準備。ポカラ組が先発する。ほとんどがポカラ組で、カトマンズ行きは俺を含めて3人だけ。すっかり仲良くなったみなさんと握手して別れてせいせいする。そして間もなくカトマンズ組も出発となる。用意された乗り物を見て愕然とした。ただのローカルバスじゃねえか…。せめて入国まで使ったクルーザーにしてくれよ。

 というわけで、ローカルバスですからね、乗客ぎっしり、頻繁に止まる、吹き込む砂埃入り熱風、酷過ぎる悪路。楽して旅行会社を使ったツケがこれですよ。この程度の移動なら余裕で自力でできたわ。で、このクソローカルバスはなぜか南北を行ったり来たり。なんなんでしょうかこれ。あのね、時間がかかるのは仕方ないの。でもね、意味のないことはやめようよ。ネパールに来たところでクオリティはインドと変わらない。隣の席が若い女性だったのでいつもよりは狭くはないんだけど。

 バスは田舎のあぜ道を砂埃いっぱい立てて走っております。みるみる砂だらけになります。おかあさん、ぼくは遠いネパールの地で、砂まみれになっております。しかしながら外の景色はとてもいい感じ。のどかな田園風景が広がっている。やっぱり旅はいいな~、といい気分に浸っていると、ネパール人の乗客が声をかけてきた。

 「なああんた、隣にいる女性のダンナが別の席にいるんだよ。そいつと代わってやってくれないか?」

 えー、別にいいけどさ、だったらそのダンナ本人が言ってくればいいじゃん。人を使ってお願いしてくる根性が気に食わねえな。

 「やだ。別の人に頼みなさい」

 実は、拒否する理由はそんな些細なことじゃなくて別にある。そいつと席を替わると、午後の日差しが照りつける側になってさらに地獄が加速してしまうわけ。そのことも告げてかたくなに拒否。いま考えると器の小さいことをしたなと反省するんだけど、ローカルバスの中にいれば誰だって心が荒むぜ。そのうちバスの乗務員までもやってきてお願いされた。。もう、しょうがないなあ。代わりますよ。しかし、当人たちから感謝の言葉は一切出てこなかった。英語が話せなかっただけかもしれないが。そして移動した先の席。隣は象のようなおばさん。これはきつかった。

 何度か休憩をはさみつつ、カトマンズに近づくにつれ明らかに風が涼しくなってきた。道路は相変わらずガタガタではあるが、涼しくなっただけで天国。バックパッカーの聖地カトマンズへの期待は高まるばかり。

 非常に空気の汚い、よどんだ街・カトマンズに到着。バスが止まった場所は市街地から離れており、なにかしらの手段で市街地に移動しないといけない。さて、どうするか。ふと見ると、日本人発見。同じバスにいた、というか一緒に国境を越えたメンバーだね。非常に影が薄かった。2人いればタクシー使えるよね。一緒に乗ろうぜ!と話しかけていると、ホテルの客引きがやってきた。

 「部屋、見るだけでも見ないか?タクシーひとり10Rsでいいから」

 ナイスタイミング。けっこう距離があるから10Rsは助かる。客引きは控えめ。あまり強くプッシュしない。これがネパール人なのかな。10Rsの恩義で連れていかれた宿を見てみる。何この宿。最高じゃん。ツインルームだからかなり広い。立地も文句なし。料金は一泊150Rs。というわけで即決。一応価格交渉する。

 「5日間以上滞在するから120Rsにしてくれませんか?」
 「いいよ」

 あっさりOKでした。ちなみに一緒に来た日本人の彼は、ガイドブックにも載っている有名な日本人宿に行きました。「だって日本語堪能なオーナーでバスの手配とかしてくれるっていうから…」だって。彼はまたタクシーに乗って移動していきました。そう、日本語が使える宿もあり、日本食レストランも充実していることもあるだろうが、ここカトマンズも日本人沈没者が多いことで有名。プリーで懲りているのでできるだけかれらは避けたいところだ。

 すっかり日も暮れて来ていたが、チェックイン後すぐに外出。涼しいだけでずいぶんフットワークが軽くなるわ。観光はできないのでとりあえずネットカフェ。20Rs/hで通信速度が速い。すばらしい。家族らに所在のメールを残し、街をふらつく。とっても楽しい街です。これまで旅した中で一番好きかも知れない。ビルが林立するほどではないけど、ずいぶん都会だわ。インドと違ってゴミがほとんどなく、ゴーゴーバーなんかもたくさんある。ケバケバしい商売女もうろうろしてる。飲み屋も多い。アレやソレやコレも多く、とにかく遊ぶには事欠かない。そしてメシが美味い。この日はチベット料理屋を探し回り、ずいぶん量食った。ネパール料理じゃないってのがポイント。あまり興味はない。

 夜になると一段と冷え込む。寒いまではいかない。宿の部屋のFANが回らないようになっているのだが、まったく問題ない。ここは天国。地獄のインドから来たものだから余計に癒される。ぼくのハングリー精神が減退していく。バスの中でかいた嫌~な汗はすっかり乾いてしまった。ベッドに転がってぼんやりと考える。余裕ができるといつも考える。これからどうしようか。どんな生き方をすべきなのか。ずっとひとりでいると、自分がいばらの道を進んでいるような錯覚にも陥るけれど、現実の社会の方がよっぽどいばらなわけですよ。今の俺は孤独ではあるけど自由。何やってもいい。何しても認められない代わりに怒られることがない。社会から離れ過ぎると、寄り添うのが困難になる。

コメント


インド・ネパールバックパッカー一人旅 管理者様
ご旅行、お仕事、お疲れさまです。
とても、刺激的で楽しく旅行記を読ませていただいております。
私も6月にはバラナシ、ネパールカトマンズを旅行跡をたどる様に、
バックパッカーになろうかと考えております。
是非とも、宿泊されたゲストハウスなどの名前や情報がありましたら、
教えて頂きたくメールさせてもらいました。
御忙しい中に申し訳ございません。
埼玉県さいたま市在住 えーき

Posted by えーき at 2012/05/20 14:26:56+09 PASS:
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